「それでいい。」細川貂々さん&水島広子さんの共著のポイントと感想

30代半ばに体験したちょっぴり不思議な出来事をきっかけに自分を見つめ直した、内向的な主婦の「にわとり印のごきげんブログ」。作成者のNikoと申します。

少しずつでも自分を肯定できるようになると、なぜか物事が良い方向に変わっていく・・・と私は自分の経験を通して感じています。

今日は「自分を認める」ヒント沢山書かれており、さらに対人関係を学ぶのにもってこいの本「それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門」を紹介したいと思います。

「それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門」ってどんな本?

漫画で楽しみながら「ありのままの自分でいい」ことを学べる本

「それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門」は、2017年に初版が発行された書籍です。

この本の作者のおひとり、漫画家・細川貂々さんは、自分で自分の事を「ネガティブ思考クイーン」と名付けるほどネガティブで生きづらさを感じていました。

そんな貂々さんが、ご縁があって精神科医で「対人関係療法」の第一人者である水島広子先生の診察室を訪問し、

下記のように対話をしながら悩みの解決方法や基本的な対人関係について学んでいくというエッセイとなっています。

細川貂々&水島広子著「それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門」創元社 P81より引用

↑「ネガティブクイーン」の格好をしているのが貂々さん、白衣を着ているのが水島先生です。次第にお二人が打ち解け、リラックスして本音トークをしています。

作者は細川貂々さんと水島広子さん

漫画家・細川貂々さんと精神科医・水島広子さんの共著となっています。

細川貂々さんは映画化もされた「ツレがうつになりまして。」など数多くの作品を描いていらっしゃる漫画家・イラストレーターです。水島広子さんは慶應大学医学部&大学院卒の精神科医で、現在は対人関係療法専門クリニックの院長を務めていらっしゃいます。

この本の構成

この本は第1章・悩み編第2章・解決編第3章・成長編で構成されています。

第1章の悩み編では、細川さんが日頃の悩みを話し、水島先生がそれについて答えています。第2章の解決編では、対人関係におけるコミュニケーションの具体的な技法について、第3章は成長編としてこれまでのまとめと貂々さんの気づきなどが書かれています。

全ての章のテーマごとに、マンガとコラムが書かれています。

第3章の終わりに、ガチガチのネガティブクイーンだった貂々さんの心がほぐれていく様子が絶妙な表情で描かれているのも見どころです。

この本で一番心動かされたポイント

この本を読んでよかったと思うことは、この本のタイトルそのまま、自分で自分の状態を「それでいい」と思えるようになることです。

人はそれぞれ本人にしかわからない色々な事情を抱えて生きているので、今できないことがあったりうまくいかないことがあったりする。でもいったん「今はこれでいい」と思うことがとても大切、ということをマンガとコラムを通して学べます。

「今はこれでいい」と思うことは一見成長の妨げになるように感じがちですが、水島先生は「今はこれでいい」と自分を肯定することで初めて、自身が成長できると話します。

てんてんさんがそう感じるんだから それでいいんです

(中略)人は評価を下されない時の方が 行動を変えやすいです

ありのままでいれば 自分のタイミングで 変わっていける

細川貂々&水島広子著「それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門」創元社 P144~147より引用

「今はこれでよい」というのは、怠け心につながると思うでしょうか?しかし、人間の変化は、現状の肯定からしかあり得ないのです。今の自分を否定し続けていると、地に足のついた変化など起こせないのです。まずは「事情を考えれば、今の自分はこれでよいのだ(当然なのだ)ということを認めた上で、「でも、できればこんなふうになっていきたいな」と思えれば、実際に変化は可能でしょう。

細川貂々&水島広子著「それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門」創元社 P51より引用

このことは水島先生がご自身の臨床経験を通して確信していることのようで、大事なこととして第1章と第3章に繰り返して書かれています。

その他のこの本のポイント

基本的な人間関係を学ぶことができる

その他にもこの本を読むことで基本的な対人関係について改めて知ることができます。

細川貂々&水島広子著「それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門」創元社 P82より引用

この図のようなことって、意外に誰からも教わっていないし、実感していない人が多い(私を含めて)のではないかと思いました。

「円の真ん中にいる人」→家族、恋人、親友など

・・・自分の情緒に一番影響力がある(ここが安定していると自分に良い影響がある)

「円の外側にいる人」→仕事、SNS上の人間関係など、物事が円滑にいく程度に関わる

突然ですが以前マドモアゼル愛さんがラジオの人生相談で、「仕事上の関係とのコミュニケーションに愛情などを求めてしまうと、うまく行かなくなる」という話をしていたのを思い出し、この図をみてさらに納得しました。

コミュニケーションの基本を学ぶことができる

この本の第2章では、人と人とのコミュニケーションはお互いに何らかの役割を期待する「役割期待」があり、この「役割期待」がずれてしまうことでコミュニケーションに問題が生じるということをマンガで解説しています。

「間接的であいまいな言葉」や「言葉を使わないコミュニケーション」、「勝手な思い込み」などが役割期待にズレを生じさせる原因となるので、お互いに確認することの大切さや「言いわけ」「ぐち」を上手に活用する方法などが書かれています。

言いわけやぐちをいうことも大切であるということが目からウロコでした。←言う相手などの注意点もあるようです

自分が相手の「役割期待」にどれほど応えられるかを考えることはとても大切で、もし「応えられない」場合、それを温かく伝えるためのコミュニケーションの仕方について書かれています。

貂々さんの練習が参考になる

この本の第3章と最後のあとがきに、貂々さんが水島先生とお会いしてから続けている「自分を認める練習」について書かれています。

具体的には「今はこれが精一杯なのだから、これでいい」と自分に伝えることや、理想的な自分と現実の自分に非現実的なズレがないようにこころがけること、相手にちゃんと自分の気持ち(言い訳も)を伝えることなどです。

それぞれがイラスト付きで描かれており、わかりやすくて自分も実践したいと思わせてくれます。

読んでみての感想

細川貂々さんは「ツレがうつになりまして。」で有名な漫画家さんですが、私の細川貂々さんの書籍との出会いは、コミックエッセイ「私の苦労と付き合う当事者研究入門 生きづらいでしたか?」から始まりました。

貂々さんが、困りごとを抱えた人が集まる「当事者研究」のグループに参加した際のことが書かれたこの本がすごく好きなので、その中でも少し触れられていた水島先生との共著「それでいい。」に興味を持ちました。

まず、すごく読みやすかったです(基本的に読みやすい本しか読めない;^ω^)。

貂々さんの悩みが私自身にもすごく当てはまり、共感できるところが多かったという理由もあるかもしれません。

マンガ+コラム(文章)の本だと、ついマンガを先に読んでコラムを飛ばしてしまうこともあるんですが、この本は水島先生のコラムがすごくわかりやすいし読みやすいです!

自分の対人関係について基本的なところがわかっていなかったと振り返ることも多々ありました。

マンガの中に心震わせられるような文章もサラリと沢山出てきます。

細川貂々&水島広子著「それでいい。自分を認めてラクになる対人関係入門」創元社 P154~155より引用

この本で学ぶことが沢山あったので、私は続編である「やっぱり、それでいい。」と「夫婦・パートナー関係もそれでいい。」「生きづらい毎日に それでいい。実践ノート」も読みました。どれもすごく良いのでいつか書きたいです。

特に「生きづらい毎日に それでいい。実践ノート」には、現実の対人関係の悩みをかなり救ってもらいました。こちらもおすすめです。

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