30代半ばに体験したちょっぴり不思議な出来事をきっかけに自分を見つめ直した、内向的な主婦の「にわとり印のごきげんブログ」。作成者のNikoと申します。
不思議な出来事を経験した時、私は「自分の内面はものすごく未熟だ、まだ大人になっていないんだ!」と気が付いたので、
「大人になるにはどうしたらいいか」を大慌てで検索(笑)した時、ヒットして購入したのがこちらの本です。
久しぶりに読んで、改めて人が生きていくのに役立つ本当に大切なことが書かれている本だと思いました。なんだか気持ちもやわらかくなりました。
「おとなになるってどんなこと?」ってどんな本?
よしもとばななさんによる「人生において大切なこと」が書かれたエッセイ
「おとなになるってどんなこと?」は、小説家のよしもとばななさんによるエッセイで、初版が2015年にちくまプリマ―親書から発行されています。
雑誌などの連載をまとめたものではなく書下ろしの本で、よしもとばななさん曰く、落ち込んだときなどに読む人が自分の軸をとり戻すことができるような「お守りみたいな本」を目指してつくったものだそうです。
おとなになること、勉強のこと、友達のこと、生きることなど、人生の根幹に関わってくるような大事な8つのことについて書かれています。
子ども(思春期位の子を想定?)にも読めるようにとつくられた本のため、大変読みやすいです
この本の構成
この本は「おとなになるってどんなこと?」という章(問)から始まり、
「友達って何?」「普通ってどういうこと?」「年をとるのはいいこと?」などの計8つの章(問)によって構成されていて、最後に「将来を考える」というインタビューでまとめられています。
よしもとばななさんの考える「大人になるということ」
この本のタイトルにもなっているこのテーマ。
この本の中にいくつか「大人になることについて」のよしもとばななさんの考えが書かれているのですが、その中でも私が印象に残ったところです。
大人になるということは「子どもの自分を抱えながら、大人を生きるということ」
よしもとばななさんはこの本の第一問「おとなになるってどんなこと?」の中で、こう述べています。
いちばんだいじなことは、自分の中にいる泣き叫んでいる子どもを認めてあげることです。ないことにしないことです。そうすると心の中に空間ができて、自分を大丈夫にしてくれるのです。
どんな年齢になってもそれは同じだと思います。
大人になるということは、つまりは、子どもの自分をちゃんと抱えながら、大人を生きるということです。
よしもとばなな著 「おとなになるってどんなこと?」ちくまプリマ―新書 P31より引用
自分の中にいる「小さな子供の自分」を認めてあげることが、大人になることであると考えられているんですね。
自分の中にいる子どもを認めてあげると、心に余裕が生まれるというのはすごくわかる気がします
これはインナーチャイルドの考え方にも通じますし、ちょうど前回取り上げた「それでいい。」の本にも、「人は、今の本当の自分を肯定することで初めて成長できる」という似ている部分があったように思います。
その他のポイント
「愛の貯金」を貯めるということ
この本の第五問は「死んだらどうなるんだろう?」という章で、よしもとばななさんのご両親との死別のさいのエピソードについて書かれていて涙が出てくるのですが、この章の最後にこの「愛の貯金」のお話が出てきます。
よしもとばななさんのここでいう「愛の貯金」とは「愛」と言う名のエネルギーの蓄えのことで、幼い頃に沢山親から「愛の貯金」をもらった人は愛というエネルギーが減りにくいけれど、そうでない人は何か辛いことが起きると愛のエネルギーが一気に減ってしまいがちなのだそうです。
愛の貯金のしくみは以下のようになっているそうです
- なくなった愛の貯金をまたためていくには、とにかく生きていくしかない
- 愛の貯金を貯めるためには、落ち着いて基本的な生活を整える
- 愛の貯金のいいところは、人にあげることで自分の愛の貯金も貯まるところ
愛の貯金という名の生命エネルギーを貯めるコツが書かれています。
人生に試練がおきたときの考え方
よしもとばななさんはこの本の第一問「おとなになるってどんなこと?」の中で、中学時代の自分の辛くて寂しかった時期には意味があったとして、こう述べています。
辛いことは、その場ではほんとうに辛いし自分を深いところまでゆがめるけれど、あとで必ずなにかの土台になります。そう思って辛抱するしかないんです。
(中略)みじめでちっぽけな自分と向き合い、砂を嚙むみたいな毎日はきっと人生に必須な科目なんですね。
よしもとばなな著 「おとなになるってどんなこと?」ちくまプリマ―新書 P17~18より引用
時が経ってからふり返ってみて「あれは必要な出来事だったんだ」と感じることは本当に沢山あると思います。でもその渦中は本当にきついので、そんな時にこの本を読むことを思い出したいなと感じました。
読んでみての感想
生きていく上での「お守りとなるような言葉」がもらえる
よしもとばななさんが意図された通り、人が生きていくうえでの「お守りになるような言葉」がたくさん入っているところがこの本の良いところだと思います。
友人との付き合い方や、亡きお母さんへの思いなど結構赤裸々に書かれていて、それが人間らしく感じて癒されるポイントでもあると思います。
個人的には第4問「普通ってどういうこと?」が好きで、日頃感じながらなかなか言葉にできなかったことをわかりやすく示してくださっていると感じました。
これから大人になる子どもも読めるようにと書かれた本ではありますが、読むとホッとする、心が軽くなるという点で大人にもとてもおすすめの本です。